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新機能 Navigation Connect API 徹底解説 〜概要から構成例・注意点まで〜

作成者: goga|Oct 13, 2026, 8:50:11 AM

皆様、こんにちは!
Google Maps Platform のプロフェッショナル集団、ゴーガです。

配送や配車サービスなどの業務アプリにおいて、ドライバーが利用するナビ機能の開発は不可欠な要素です。しかし、ナビ機能を一から自社アプリ内に構築・維持するには、相応の開発工数や設計上の工夫が必要となります。そこで新たに登場したのが「Navigation Connect API」です。
普段使い慣れた Google マップや Waze アプリのナビ機能をそのまま活用しつつ、走行中の現在地・到着予定時刻・ステータスといったデータを、リアルタイムで自社システムに集約できる画期的なサービスです。
本記事では、Navigation Connect API の特徴やユースケースをはじめ、弊社で構築したデモ環境の実装例や導入時の注意点を解説します。

1. Navigation Connect API の特徴とメリット

Navigation Connect API の最大の特徴は、Navigation SDK を使ってナビ機能を自社アプリに直接組み込むことなく、Google マップや Waze を使ったリアルタイムな動態管理を実現できる点です。

ドライバーがナビを実行すると、走行中の位置情報や到着予定時刻などのデータが自動で自社バックエンドへ送信されます。自作アプリの開発負荷を大幅に抑えながら、以下のようなビジネス現場で威力を発揮します。

  • 配車・ライドシェアサービス: 乗車位置へ移動中の車両の位置や到着予定時刻を、乗車待ちのユーザーへリアルタイムに提示
  • 配送・フードデリバリー: 走行中のドライバーの現在位置と交通状況に基づき、高精度なお届け予定時刻をクライアントへ通知
  • 訪問作業・フィールドサービス: 修理やメンテナンスなどの訪問スタッフの移動状況を可視化
  • 地域インフラ: 過疎地における移動式スーパーやコミュニティバスなどの現在地を可視化し、利用者が「あとどれくらいで近所にやってくるか」を事前に把握できるようにする

自作アプリの開発負荷を削減しながら、エンタープライズレベルの動態管理システムを構築できるのが大きな強みです。

2. ユースケースに応じた選択肢

要件やユースケースに応じて、「Navigation SDK」「Navigation Connect API」「通常のディープリンク」のどれを採用すべきか判断します。

  • Navigation SDK (Android / iOS) が適しているケース
    自社アプリの画面内にナビ機能を組み込む方法です。デザインや機能を自由にカスタマイズできる高度な柔軟性が魅力ですが、UI 設計や実装を包括的に行うアプローチとなります。
  • Navigation Connect API が適しているケース
    ナビ自体は使い慣れた Google マップや Waze アプリに任せつつ、「今ドライバーがどこを走っているか」「あと何分で着くか」というデータを裏側で受け取ることができる方法です。自社アプリ側の開発範囲をスマートに抑えながら、ドライバーの現在地がマップ上で動く仕組みを効率的に実現できます。
  • 通常のアプリ起動リンク(ディープリンク)が適しているケース
    スマホで「Google マップでルート案内を開始する」ボタンを押して、Google マップアプリまたは Waze を直接立ち上げるだけの最もシンプルな方法です(※アプリの特定の画面へ遷移させるリンクをディープリンクと呼びます)。
    ドライバーが目的地に行くことができれば良く、会社側でリアルタイム追跡をする必要はないというケースであれば、非常にシンプルなこの方法が最適です。裏側のデータ連携がないため、事前設定や同意画面の準備も不要で、手軽に導入を開始できます。

3. システム構成例と処理の流れ

Navigation Connect API の実際の挙動を確認するため、検証用のデモ環境を構築してみました。
バックエンド処理には Cloud Run を採用し、以下の 3 つのサービスをサーバーレス構成でシンプルに構成しています。

  • Trip 作成用 API (CreateTrip)
    アプリからのリクエストを受け取り、Navigation Connect API を呼び出して Trip を発行する処理
  • データ保存用ワーカー (TripUpdateSubscriber)
    Pub/Sub 経由で届いた Trip データを受信し、Firestore へ書き込む処理
  • データ取得用 API (TripApi)
    管理画面からのリクエストに応じ、Firestore に保存された Trip データを取得する処理

※全体像を分かりやすく解説するため処理やシステム構成をシンプルに記載しています。

処理の流れ

  1. Trip の作成
    Android アプリからバックエンド(Cloud Run: CreateTrip)経由で Navigation Connect API へ Trip を発行リクエストを送ります。認証用のトークン付き URL(navConnectUrl)を取得します。
  2. Google マップアプリの起動
    取得した URL を使って、ドライバーの Android 端末上で Google マップアプリを起動します。
  3. ナビ開始とデータ送信
    ドライバーが位置共有に同意してターンバイターンナビが開始されると、走行中の位置情報や到着予定時刻などのテレメトリデータが Navigation Connect 側へ自動送信されます。
  4. Trip データの取得
    Navigation Connect 側に送信されたデータは、設定された Google Cloud Pub/Sub トピックへプッシュされます。
  5. Pub/Sub によるイベント発火
    データを受信したイベントをトリガーとして、Cloud Run(TripUpdateSubscriber)が自動的に呼び出されます。
  6. Firestore への保存
    呼び出された Cloud Run(TripUpdateSubscriber)が、受け取った Trip データを Firestore へ保存・更新します。
  7. 管理画面(Web)での可視化
    管理画面 Web アプリにアクセスすると、Cloud Run(TripApi)経由で Firestore から Trip データ(一覧・詳細)を取得し、Google Maps 上でドライバーの現在地や走行状況をリアルタイムに確認できます。

データ更新のリアルタイム性とコストに関するポイント

Navigation Connect が Trip データを更新する頻度は、Trip 作成時の設定によって異なります。

  • 通常(デフォルト): Trip データの更新頻度は 60 秒ごとになります
  • 高頻度設定: config.enableHighFrequencyUpdates を true に設定すると、5 秒毎の高頻度更新に設定を変えられます

今回社内で作成した検証用のデモでは、enableHighFrequencyUpdates: true を指定して発行していたため、5 秒間隔の高頻度データ受信を実現していました。配車・ライドシェアやデリバリーなど、より滑らかなリアルタイムトラッキングが求められるユースケースでは、この高頻度設定を活用することができます。

管理画面(Web)での可視化例

収集した走行データおよび位置情報を一元管理する管理画面です。Trip ごとの走行記録一覧やステータスを確認できるほか、Google Maps 上で走行軌跡や計測点を可視化しました。

4. 注意点(2026/10/13時点)

実際に検証を進める上で気をつけるポイントをまとめてみました。

  • API の有効化には個別申請と承認が必要
    Navigation Connect API は他の Google Maps Platform の API のように、コンソール上で API を有効化するだけでは利用することができません。Google Cloud コンソール内から自社アプリ情報(アプリ名やプライバシーポリシーの URL 等)を申請し、Google による承認を受ける必要があります。また、Android と iOS それぞれの OS ごとに申請・登録が必要になる点にも注意してください。
  • 本番環境での利用不可
    Navigation Connect API は現在プレビュー段階のため、本番環境での運用および実務での利用は禁止されています。商用サービスでの稼働や本番データを用いた運用は行わず、必ず検証・開発環境のみでの利用にとどめてください。
  • 対応アプリと OS の制限
    対応しているナビアプリは Google マップと Waze の 2 つのみです。また、検証時点において iOS 版の Google マップアプリでは Navigation Connect API が動作しません。iOS 端末で検証する場合は Waze を利用するか、Android 端末での検証を優先することをおすすめします。

まとめ

Navigation Connect API は、「Google マップの使いやすさ」と「自社システムでのリアルタイムデータ集約」を両立する、これまでにないスマートな選択肢です。

現在はプレビュー版のため個別申請や環境制限(本番利用不可)といった注意点はありますが、配車・配送業務の動態管理を大幅に効率化できる大きなポテンシャルを秘めています。

ゴーガには Google Maps Platform に精通したエンジニアが多く在籍しています。
「自社の配送システムに Navigation Connect API が合うか相談したい」「Google Cloud も含めた全体のシステム構成についてアドバイスが欲しい」など、気になることがありましたらお気軽にご相談ください!

それでは、また次の記事でお会いしましょう!