導入インタビュー

株式会社ドコモ・インサイトマーケティング 様

携帯電話ネットワークの仕組みを利用して作成される人口統計情報「モバイル空間統計」を地図上に可視化した「人口マップ(モバイル空間統計 人口マップ)」をゴーガが開発しました。人口マップでは、最短1時間前の500mメッシュの推計人口を1時間ごとに色分けして表示し、24時間前まで遡って表示させることが可能で、主要地点の24時間の人口推移や性別・年代別のグラフ、居住地割合などをグラフで見ることもできます。無償版はウェブブラウザを使って誰でも自由に閲覧可能で、有償版では表示項目をカスタマイズして自社のウェブサイトに埋め込んだり、マーケティングデータとして社内で利用したりすることができます。

株式会社ドコモ・インサイトマーケティング エリアマーケティング部<br>副部長 古田泰子様(右)<br>グループリーダー 大町翔太様(左)株式会社ドコモ・インサイトマーケティング エリアマーケティング部
副部長 古田泰子様(右)
グループリーダー 大町翔太様(左)
株式会社ドコモ・インサイトマーケティング
  • 社名株式会社ドコモ・インサイトマーケティング
  • 導入サービスGoogle Maps Platform / 位置情報ビッグデータ/ 個別開発/ 「人口マップ(モバ空人口マップ)」開発
  • キーワードモバイル空間統計, 人流データ, 混雑情報, Google Maps Platform 人口マップ(モバ空人口マップ)

人口マップ(モバ空人口マップ)

人口マップ(モバ空人口マップ) ※ 実際に操作いただけます

人口マップ(モバ空人口マップ)のもとになっている「モバイル空間統計」とは、どのようなデータなのでしょうか?

古田様:モバイル空間統計は、NTTドコモの携帯電話ネットワークの仕組みを利用して各エリアの人口を推計した人口統計情報です。携帯電話の基地局情報をもとに、各エリアの端末数を人口に対するシェア率で割り戻すことによって人口を推計しています。人流ビッグデータの多くはスマホに内蔵されているGPSの測位データを使用していますが、GPSデータはアプリの起動時に使用許可を求められることも多く、そもそもGPSをオフにしている端末や、GPSが非搭載の従来型携帯電話などの位置情報は取得できません。モバイル空間統計はGPSのオン・オフに関係無く携帯電話の電源が入ってればデータを取得でき、従来型携帯電話も対象としています。国内では約8,200万台、訪日外国人では約1,200万台という膨大なサンプル数をもとに算出しているため、信頼性の高いデータが得られます。

大町様:GPSデータの場合、アプリによって使用条件が異なるため、同じ条件で比較することが難しいですが、モバイル空間統計はスマホや従来型携帯電話の電源が入ってさえいれば位置を特定できるため、昼でも夜でも同じ条件で比較できます。また、モバイル空間統計は推計の技術仕様を公開しており、過去と現在のデータを同じ方式で算出しているので連続性があります。さらに、携帯電話の加入時に取得した属性情報を利用しているため、属性情報の信頼性も極めて高いです。もちろんプライバシーの保護には十分配慮しており、運用データに非識別化処理や集計処理、秘匿処理を行った上で作成するため、人口データから携帯電話のお客様個人を特定することはできません。

2020年からは、リアルタイムの人口データも提供開始されましたね。

古田様:従来は、最短2日前の人口分布を性別・年代別・居住地別で1時間ごとに提供していましたが、2020年1月からは「国内人口分布統計(リアルタイム版)」として、最短1時間前の情報を10分ごとに提供できるようになりました。携帯電話の基地局の位置情報をもとに国内全域の人口統計をリアルタイムに提供するのは日本初のことです。そして、偶然にもこのサービスをコロナ禍の直前にリリースしていたことが、その後の「モバ空人口マップ」の開発につながったのです。

古田泰子様

人口マップを作ろうと思ったきっかけはどんなことですか?

古田様:コロナ禍が起きて、人流を減らす必要があるという話になったときに、均一的な条件でデータを比較できるということでモバイル空間統計が注目を集めたのがきっかけです。そこで、「NTTドコモグループとして社会に貢献する」という位置付けで、モバイル空間統計を可視化した人口マップを無償で一般向けに公開することにしました。「これまで有料で提供してきたものを無償で公開してもいいのか」という議論はもちろん社内で起こりましたが、実際に無償で公開してみたところ、これをきっかけにモバイル空間統計の良さを広く知っていただき、有償データをご購入いただくことにつながったケースも多く見られました。

人口マップの開発会社としてゴーガを選んだ理由をお聞かせください。

大町様:開発プロジェクトがスタートしたのは、感染者数が急増した2020年4月頃で、ドコモとしても、できる限り早く人口マップを世に出さなければいけないという状況でした。そこで、開発の“スピード感”を重視して検討した結果、ゴーガさんにお願いすることにしました。実際にゴーガさんと契約し、仕様が決まってから2週間後にはプロトタイプが完成しましたので、本当に早くて驚きましたね。新しいサービスを作るときは、社内のさまざまな部署とコンセンサスを取るのが大変なのですが、プロトタイプを直に見せると合意形成が格段に取りやすくなります。「これはデザインがいいね。それに使いやすい!」と好評で、スムーズに話が進みました。人口マップが公開となったのは2020年の5月で、これほど短期間で開発できたのは、ドコモとしては初めてのことかもしれません。

背景地図に Google Maps を採用した理由はなんですか?

大町様:UIが優れている点と、一般的に多くの人が使っている地図なので、みなさんが見慣れた地図で安心感があるということで Google Maps を採用しました。

開発にあたっては、どんなところに苦労しましたか?

古田様:色分けの色味や、どの人数で何段階に区切るかという点については、社内でも色々な意見が出て、さまざまなパターンを検討しました。その際にも、ゴーガさんからは多くのパターンを迅速に提示していただいたので、実際の色味を見て決められたのでありがたかったです。とにかく一般ユーザー向けのサービスということで、スマホやPCなどデバイスを選ばず、誰が見てもわかりやすいものにしなければならないので、どうすればユーザーが見やすく、説明を読まなくてもわかるUIにできるかを吟味しました。

大町様:短い開発期間の中で、社内のコンセンサスを取るのはとても大変でしたが、社会的に人流データのニーズがとても高まっている時期だったので、とにかく頑張りました。とくにメディアからデータの提供を要請される機会が多く、それに対応するのは大変でしたが、人口マップを公開することで、メディア対応を省力化することもできました。さらに、もともとは無償提供を前提に作ったサービスではありますが、今ではさまざまな点をカスタマイズして有償版としても法人向けに提供しています。この有償版のカスタマイズについてもゴーガさんにお願いしています。

人口マップの有償版では、どのようなことができるのでしょうか?

古田様:有償版では、色分けのパターンや段階分けなどをカスタマイズできるほか、各エリアにいる人の居住地がどこの都道府県なのかをグラフで確認できるようにすることも可能です。さらに、過去データを見たいという方のために、日付を指定してデータを表示する機能を追加することもできます。また、無償版では24時間の人口の推移が見られるスライダーについて、「前年の平均値」と「リアルタイム」の2つを切り替えて見られるようにしていますが、有償版では「コロナ禍になる前」と「現在」、そして「リアルタイム」の3つを比較できるようにしています。

人口マップ(有償版) 過去日付指定
人口マップ(有償版) 居住地人口

大町様:たとえば都内のオフィス街の人口を見たときに、コロナ禍の前は約5万人だったのがコロナ禍になって約3万人になり、現在はその中間の約4万人だとすると、「一時期はリモートワークでオフィスに来る人が減ったが、現在はそれが戻りつつある」という状況がわかります。オフィス街だけでなく、住宅地や観光地などでどのような違いがあるのかを見ていただくことにより、アフターコロナがどのようになるのかを予測する指標として使うことができます。

有償版の導入事例としては、どのような使い方があるのでしょうか?

古田様:東京都様では、色をユニバーサルデザインに変更し、グラフを確認できる拠点も増やした上で都の公式サイトに人口マップを埋め込んで利用されています。また、JR東日本様は、MaaSのプラットフォームの地図上に人口マップを重畳することで混雑状況を見られるようにして、お客様に安全・安心に移動していただくための情報としてお使いいただいています。さらにJリーグ様の公式ウェブサイトでは、観客向けにスタジアム周辺の混雑状況を提供することを目的に、人口マップをウェブサイト上に埋め込んで公開されています。このほか、ウェブサイト上で一般ユーザーに向けて混雑状況を提供するだけでなく、社内でマーケティングの分析ツールとして導入されるケースも多いです。

東京都政策企画局様
https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/information/corona-people-flow-analysis.html

JR東日本様( TOHOKU MaaS )
https://lp.tohoku-maas.com/

モバイル空間統計や人口マップは、今後どのような分野で需要が伸びると思われますか?

大町様:金融の分野において、モバイル空間統計の人口データをもとにテーマパークやショッピングセンターの業績を予測し、株価の変動を予測したレポートを投資家向けに提供するといった活用事例が増えています。また、NTTドコモは三井住友DSアセットマネジメント様と提携し、モバイル空間統計を活用した投資信託「データ戦略分散ファンド(愛称:dインパクト)」を2020年12月に提供開始しました。これは繁華街や商業エリア、工場地帯などの人口データの変動を投資判断に役立てる取り組みです。実は当社としてもモバイル空間統計と金融との組み合わせは想定していなかったのですが、テストしてみたところ非常に良い結果が出たので商品化が実現しました。モバイル空間統計をオルタナティブデータとして使った事例としては先進的な取り組みだと思います。

大町翔太様

また、NTTデータ様は、モバイル空間統計にGPSなど複数の人流プローブデータ、地理空間データなどを組み合わせて建物単位や道路単位での人流を予測する「 BizXaaS MaP 人流分析」のサービス提供を2021年10月に提供開始しました。人口データを教師データとしてAIに学習させることによって人流を分析し、飲食店やスーパーが来店客数を予測して仕込み量を調整し、フードロスを削減することなどが可能となります。

人流ビッグデータ業界の今後の動向と、その中で貴社が果たす役割についてお聞かせください。

古田様:以前よりも自治体のみなさまが人口マップのようなデータを使い慣れてきたので、これからコロナ禍が収束し、各地に観光客が戻ってきたときに、人口データの活用はもっと進んでいくことが予想されます。また、民間企業についても、コロナ禍の前は勘に頼って来客数などを予測できていたのが、コロナ禍によって人流が変わってしまったため、きちんとデータを使って把握するという方向に進んでいくでしょう。そういう意味で、自治体も民間企業も今後はDXが進んでいくと思われますので、当社もモバイル空間統計を使うことで積極的に支援していきたいと思います。また、モバイル空間統計や人口マップについても、今後はメッシュ解像度の向上や属性情報の拡大など、さまざまな機能強化を図っていく方針です。

今後、ゴーガにはどういったことを期待しますか?

大町様:人口マップは誰でも見られるように一般公開しましたが、一方で私どもとしては、人口マップの収益化も図っていきたいと考えています。有償版では自治体や企業のみなさまから本当に色々な要望をいただくので、そのような要望にスピード感を持って対応しなければなりません。それができるのはゴーガさんだけだと思っているので、私どもとしてはそのようなスピード感のある対応に期待したいですね。

古田様:モバイル空間統計の可視化だけでなく、他のデータやシステムと組み合わせた可視化についてもリクエストをいただくこともあるので、ゴーガさんとの連携の中での実現に期待しています。

導入サービス紹介

Google Maps Platform

業界でも高いシェアを誇る Google マップのデータ・機能を、お客さまのビジネスに活用いただけます。さまざまなシーンやニーズに合わせて、ライセンス取得から実装まで。Googleのプレミアパートナーであるゴーガがサポートします。

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位置情報ビッグデータ

人流統計データをはじめとするビッグデータとお客さま独自のビジネスデータを用いて、オリジナルの地図システムを開発します。人の流れが可視化されることで、商圏分析、顧客・競合分析、集客施策の効果検証など、さまざまなマーケティングにご利用いただけます。

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